大阪地方裁判所 平成5年(ワ)2791号 判決 1993年11月08日
主文
一 別紙物件目録記載の土地について、被告河瀬と被告会社との間に締結された別紙賃貸借目録記載の賃貸借契約は解除する。
二 前項の判決が確定したときは、被告会社は、別紙物件目録記載の土地の大阪法務局堺支局平成四年七月二〇日受付第二六四六号の賃借権設定仮登記の抹消登記手続をせよ。
三 訴訟費用は被告らの負担とする。
事実
第一 請求の趣旨
主文と同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 東洋信用金庫(取扱店赤川町支店)は、被告河瀬との間で、昭和五〇年七月二九日、同人所有の別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)に極度額六〇〇万円、債務者被告河瀬、根抵当権者東洋信用金庫とする根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)の設定契約を締結し、大阪法務局堺支局(以下「堺支局」という。)昭和五〇年八月四日受付第五一九〇八号で根抵当権設定登記手続をした。
右根抵当権の極度額は、順次増額されて、平成三年四月一七日には二億一〇〇〇万円に変更された。
2 東洋信用金庫は、平成四年九月一七日、大阪地方裁判所堺支部に、本件根抵当権に基づき本件土地の競売申立てをし(平成四年(ケ)第三七九号、以下「本件競売事件」という。)、同月一八日差押の登記を得た。
3 原告は、東洋信用金庫から、平成四年九月三〇日、同金庫赤川町支店の事業の譲渡を受け、同金庫が被告河瀬に対して有する別紙債権目録記載の債権等を本件根抵当権と共に譲り受け、堺支局平成四年一一月一八日受付第二三二〇号で根抵当権移転の登記をし、本件不動産競売事件の債権者の地位を承継した。
4 被告河瀬は、平成三年一一月二〇日、被告会社との間で、別紙賃貸借目録記載の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結したものとして、被告会社のために堺支局平成四年七月二〇日受付第二六四六号で賃借権設定仮登記(以下「本件仮登記」という。)をした。
5 被告会社は、平成四年一〇月一六日、本件土地上に、鉄骨造陸屋根三階建店舗、倉庫を新築した。
6 本件競売事件における平成四年一一月一〇日付鑑定評価書によれば、本件土地の価格は、次のとおりである。
(一) 更地価格 一億七六六〇万五〇〇〇円
(一平方メートル当たり一二三万五〇〇〇円)
(二) 建付地価格 一億五〇一五万円
(一平方メートル当たり一〇五万円)
(三) 底地価格 六七二一万円
(一平方メートル当たり四七万円)
7 本件競売事件が現状のままで進行すると、最低売却価格が右底地価格を基準にして決定され、原告は、右建付地価格との差額八二九四万円相当の債権が回収不能となるおそれがある。
したがって、本件賃貸借契約の存在は、原告に損害を及ぼすことが明白である。
8 よって、原告は、民法三九五条ただし書に基づき、本件賃貸借契約の解除を求め、この解除請求の判決が確定したときは、被告河瀬に代位して、本件仮登記の抹消登記手続を求める。
二 請求原因に対する認否
1(被告河瀬)
(一) 請求原因1の事実は認める。
(二) 請求原因2及び3の事実は知らない。
(三) 請求原因4の事実は認める。
(四) 請求原因5の事実中、新築の年月日は知らず、その余は認める。
(五) 請求原因6の事実は知らない。
(六) 請求原因7の事実は争う。
2(被告会社)
(一) 請求原因2の事実は知らない。
(二) 請求原因3の事実中、債権の残額は否認し、その余は知らない。
(三) 請求原因5の事実は認める。
(四) 請求原因6及び7の事実は知らない。
第三 証拠(省略)
理由
(省略)
(別紙)
物件目録
所在 堺市中百舌鳥町二丁
地番 一七八番
地目 宅地
地積 一九五・〇四平方メートル
(別紙)
賃貸借目録
契約締結日 平成三年一一月二〇日
契約の目的 本件土地
賃貸人 被告河瀬知之
賃借人 被告株式会社靜基
賃料 月額五七万二、〇〇〇円
支払期 毎月末日
存続期間 五年
特約 譲渡、転貸ができる
(別紙)
債権目録
一 金一億九、三九六万五、二八八円
内訳
(1) 平成元年一〇月二〇日手形貸付の方法により貸付けた金四、〇〇〇万円の残金三、二七四万九、二八八円
(2) 昭和六三年一二月二七日金銭消費貸借契約により貸付けた金四、〇〇〇万円の残金七〇〇万円
(3) 平成元年八月三〇日金銭消費貸借契約により貸付けた金三、〇〇〇万円の残金八〇〇万円
(4) 平成二年六月七日金銭消費貸借契約により貸付けた金四、五〇〇万円の残金三、二〇〇万円
(5) 平成二年八月一七日金銭消費貸借契約により貸付けた金六、五〇〇万円の残金五、七九八万円
(6) 平成二年一〇月二五日金銭消費貸借契約により貸付けた金五、〇〇〇万円の残金四、三四〇万円
(7) 平成三年八月一二日金銭消費貸借契約により貸付けた金一、四〇〇万円の残金一、二八三万六、〇〇〇円